1) 研究室紹介

昨年,この記事の冒頭に「筆者が中央大学に赴任してから14年半が経った」と書いた.当然,現時点で15年半が経過したことになる.大学の同級生で公務員になった連中には既に第二の人生を始めた者もいる.それだけ歳をとったことになる.中央大学に来たのは41歳になったばかりのときで,卒研生や,途中からは大学院生を指導することは苦でも何でもなかったが,歳を重ねるにつれて細かいことを直接指導するのは正直申し上げて難儀になってきた.そのような中で,下表のように,学外の優秀な研究者,技術者の方々に研究室の共同研究員になってもらって,大まかな研究の流れを打ち合わせた上で,細かい部分を指導してもらって何とかしのいでいるような状況である.

このような中で,中央大学の初の卒研生の1人であった前川亮太君が,この3月に博士後期課程を修了し,道路研究室の助教として赴任してくれた.研究室内のことだけでなく,学科にまたがる仕事もしてくれるようになった.特に,新しい建物に引っ越してきて,実験装置と荷物がただ置いてあるという道路実験室の状況にメスを入れ,何とが実験ができるようにしてくれた.

さて,この1年間の道路研究室の近況であるが,学部学生の卒業生は,昨年度,新たに10名増え,過去13年間の通算で238(昼間部184名,夜間部54)となった.この10名の新卒業生は,6名が推薦入試で大学院に入学する資格を持っていたのであるが,昨年も一昨年も記したように,公務員を中心に望みの職場に採用されたものがほとんどで,実際に進学したのは2名であった.ただし昨年同様に1名が一般入試で進学してくれた上,他大学推薦入試で名城大学から入学してきてくれた学生が1名いたため,新M1は久々に4名となった.ちなみに,道路研究室の学生の昨年の公務員試験合格率もとても高く,昨年同様,2つ以上に合格してどちらの役所に進むか悩む学生がいた.

道路研究室の新4年生は都市環境学科の1期生で,人数は8名と,若干減った.全員が学年で33番以上の成績をとり,大学院の推薦入試の資格をもっている学生も多いのだが,実際に進学する意思表示をしている学生は一人もいない状況である.優秀な学生は就職をし,就職できなかった学生が大学院に残るというような時代になった.

2012910日現在の道路研究室のスタッフ,学生の構成は以下のとおりである.

身分

人数

教員

2(教授: 1人,助教: 1)

博士前期課程

5(2年生: 1人,1年生: 4)

学部生

8(4年生: 7人,5年生: 1)

研究員

5(共同研究員3人,研究補助員2)

なお,大下教授が1年間の在外研究に出たため,大学院生5名の指導教授を引き受けることとなったので,厳密には大学院生は10名ということになる.

 

2) 研究室ニュース

昨年度の卒業旅行は,32日から,23日でレンタカーを借りてドライブしながら,広島→松山→四万十→観音寺→徳島と回った.思いの外長距離の移動で,ほとんど車中で移動していたような旅行であった.

また,野尻湖で実施している測量実習は,今年は道路研究室からは,助教1名,院生5名,共同研究員1名の合計7名が820日からの前半と24日からの後半に分かれてお手伝いに加わった.直後の夏ゼミを830日から日光のホテルファミテック明神というところで行ったが,学生は大部屋に雑魚寝で冷房の効きも悪く,気の毒であった.ただし,食事はとても充実していた.下に,華厳滝の前で撮った写真を示す.また,95日から土木学会全国大会が名古屋で行われ,助教と院生は全員参加した.初日に「液状化と舗装」というタイトルで研究討論会を実施し,筆者が座長を務めたが,予想に反して,105名もの参加者を頂いた.

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夏ゼミの写真(華厳の滝の前で)

 

3) 2012年度就職内定先

東京都×2,千葉県,横浜市,JR東海,未定×3

 

4)  2011年度卒業生の研究テーマ

卒研生

名 前

研究テーマ

荒木亮祐

心拍を用いた舗装路面の走行快適性評価に関する研究

有坂勇作

バインダの劣化や材料種類が混合物の疲労挙動に及ぼす影響

金子昌平

脳波を用いた乗り心地評価と運転疲労の指標作成に関する研究

黒岩拓馬

中長距離走に適した舗装を評価するための物理調査方法に関する研究

多田周平

アスファルトの気象劣化が混合物の疲労特性に及ぼす影響

中村京平

MultiGen Creatorを用いたドライビングシミュレータの背景の再現性の評価に関する研究

中村 悟

競技者の状態と舗装から受ける力の変化に関する研究

平間崇志

アスファルト混合物の疲労の進行と微視的構造の関係

福永 健

フラクタル解析を用いたアスファルト舗装のひび割れ評価

山田直樹

路面プロファイルを用いた二輪と四輪の走行快適性および操縦安定性の比較

 

大学院修了者(前期課程)

名 前

研究テーマ

小野沢英也

路面性状を考慮した走行風景とドライバー視点の関係

磯崎大輔

脳波を用いた路面の走行快適性評価に関する研究

大学院修了者(後期課程)

名 前

研究テーマ

前川亮太

繰返し載荷実験に基づくアスファルト混合物の変形および破壊挙動に関する研究