平成245月開催の中央大学土木同窓会評議員会で,会長を仰せつかりました昭和45年の卒業の齋藤です.全く柄にもない大役であり,未だに面映ゆい感じがしております.串山前会長はじめ歴代の会長の皆様と較べようもありませんが,会員の皆様のご協力,ご支援を賜り,微力ながらこれからの土木同窓会に貢献したいと考えております.何卒,よろしくお願い申し上げます.

 平成21年を以って中央大学土木工学科が都市環境学科に名称を変更して早くも4年が経ちました.この間に歴史に長く記録される未曾有の東日本大震災を経験し,社会基盤の在りよう,基準,指針が根底から問い直されるという局面に立たされております.この問題に対する解答は,建設技術に携わるわれわれ現世代だけに求められるのではなく,これからを繫なぐ若い世代の幾重にもわたる検証を通じて,より完成度の高い構造物,防災システムへと進化し,本当の意味における『安全・安心』が構築されると考えられます.

 また,土木同窓生の皆様にとって思い出深い学び舎であった理工学部2号館は,今はもうありません.東北地方太平洋沖地震による震度5強の揺れに耐え,最期の務めとしてわれわれ教員,学生をしっかりと護ってくれた将に恩人のような建物でした.この2号館が取り壊された跡に立ちますと,目から覆い外したように白い東京ドーム越しにこれまでに無い大東京の風景が目に飛び込んで参ります.その景色はわれわれに広い視野に立ち,経験を生かし,新しい技術を育むことを示唆しているように思われてなりません.旧2号館から平成238月に竣工した新2号館に移動して,1年余りが過ぎました.新しい建物内のうち1階に道路実験室,34階には学科の準備室,会議室をはじめ全研究室,実験室が通路を挟んで向き合うように並んでいます.各研究室のスペース設計はこれまでと大きく異なり,学生の居住空間を越えたところに教員室が配置されています.したがって教員を訪問する場合,少々分かり難いとう評判もあります.しかし天井は高く,スパンを広く取った結果,快適な研究環境を創り出しています.特に,学科会議室はゆったりとした空間が確保され,研究室の打合せあるいは講義にも積極的に使われています.

 当会議室には使い込まれた風情のスティール書庫が置かれております.ここに昭和33年から編集された最初の土木同窓会名簿から最新の平成23年版名簿までが行儀良く肩を寄せ合うように並べられています.むしろ時間,空間を共有した同窓がスクラムを組んだ様を象徴しているよにも見えて参ります.たかが名簿とはいえ,そこには様々な情報が凝縮されています.名簿には卒業と同時に,卒年次の下に一人一人の名前,それぞれの住所や帰省先などの連路先ならびに進路が記録されます.その後,年月の経過に伴い職場,出向先,役職等々,活躍の状況が,逐次繰り返された記録が収められております.こうして名簿を眺めると,名簿そのものが歴史であると同時に,同窓生一人一人に取っての大切な個人情報のデータバンクの役割を果たしています.

 近年,個人情報の保護が強く叫ばれ,時として同窓生よりお叱りと共に記載の取り消しを求める連絡を受けることもままありますが,名簿そのものに何らの責任はない.名簿本来の趣旨と全く相いれない目論見,利益を貪ろうとする使い手に甚だ困ったものです.もちろん,個人情報はこれからますます重要性を持つことは明らかであり,その取り扱いについては,今後も真摯な議論を尽くして万全を期すことが最重要課題の一つであると思われます.是非,同窓諸氏のご意見,ご提案をお願い申し上げます.

 さて,学科名を都市環境学科に変更し,その一期生が4年生となって各研究室において仕上げの卒業研究に取り組んでいます.1124日にかけて開催された恒例の理工白門祭では,土木専攻の先輩と一緒に研究室紹介あるいはこれまでの研究で得た中間的な成果を,来訪者に対して一生懸命説明している姿が印象的でありました.これから12月,1月にかけて卒業研究の最盛期を迎えますが,真摯な取り組みによって,たくさんの興味深い成果が得られるものと期待されます.このように都市環境学科の学生ですが,同窓の皆様と同じように社会基盤の整備,都市の充実,災害に対する安全,環境の保全等々の研究テーマに熱いハートを持って取り組んでいます.

会長として,一教員として学科の名称を超え,土木工学科と都市環境学科の両卒業生が互いに支え合い,末永く持続する同窓会の実現に努力したいと存じます.

何卒,皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げ,拙い会長のご挨拶とさせていただきます.